フェイスブック(Facebook)は、実名でのやり取りが基本というSNSです。これはインターネット上のSNSの中でも、珍しい形態です。

フェイスブックを作ったのは当時大学生だったマーク・ザッカーバーグとエドゥアルド・サベリンという若い2人ですが、元々は利用者に制限を設けていました。

しかし今では、13歳以上であれば誰でもアカウントを持つことができるようになりました。

それによりフェイスブックの利用者は徐々に拡大し、世界中で利用されるようになったことに伴い誹謗中傷や名誉毀損、風評被害による問題も多発するようになりました。

フェイスブックの特徴

SNSにはフェイスブックをはじめ、ツイッターやミクシイなどがありますが、フェイスブックにはフェイスブックならではといえる特徴があります。

実名アカウントが基本なので、リアルの付き合いに近い

先ほども少し書いた通り、フェイスブックは実名での登録と利用が基本です。もしも実名で利用していないことがFacebook側にバレた時、本名に訂正するまでアカウントが停止することもあります。そのため、知人や家族のことも見つけやすい反面、見つけられやすいという特徴を持っています。

実名と合わせて顔写真を載せている人も多いほか、設定によって出身地や居住地、出身の学校や勤務先なども公開できるため、他のSNSとは違って、同姓同名の人の中から人物を特定しやすいのも特徴の一つです。 過去学校などで同級生だった人や職場の上司、気になった人などと簡単に繋がることができるため、匿名で知らない人と繋がるネットの世界とリアルの世界のどちらの特徴も兼ね備えているといえます。

ビジネスを展開している人も多い

実名での登録が基本であることから、フリーランサーや会社役員など、顔と名前を出して仕事をしている人がフェイスブックの中で自分のビジネスを展開していることも少なくありません。フェイスブックのアカウントを見れば、その人の生い立ちから現場まで全てを把握できることも。

個人と所属している組織が直結するため、組織に属していれば常にその組織の顔ともなりえるのがフェイスブックの特徴の一つです。

他のSNSや掲示板などに比べて誹謗中傷が少ない

実名登録が基本のフェイスブックでは、何か発言するにしても責任が伴います。これは匿名のアカウントで無責任に発言ができるツイッターや無料ブログとは大きく異なるところです。

個人的な意見であっても、本名と人によっては顔を出してその発言をすることになるため、なにか悪質な行動を取った場合は知人や家族、勤務先の上司などにもそれがバレてしまいます。その結果自分の評判も落ちてしまいかねません。そのため、他のSNSなどに比べて無責任な誹謗中傷や炎上が少ないという特徴もあります。

フェイスブックの誹謗中傷トラブル事例

実名登録が基本となっているフェイスブックでは、他のSNSなどに比べて誹謗中傷などのトラブルが少ないと書きました。しかしフェイスブックだからこそ起きてしまうトラブルもあります。フェイスブックでの誹謗中傷トラブル事例をまとめました。

本人になりすまして悪質な行動を行う

これはツイッターでも問題になっていることですが、他人の本名でフェイスブックのアカウントを開設して本人になりすまし、あたかも本人かのようにタイムラインに書き込んだり友人にコメントをしたりする「なりすまし」のトラブルが多発しています。

またさらに悪質なのが、アカウントの乗っ取りです。これはもともと本人が使用している既存のアカウントが不正な方法で乗っ取られてしまうことを指します。 友達として繋がっている人には本人と見分けがつかない上に、友達ともやり取りができるため、アカウントを乗っ取った後で本人名義で誹謗中傷のメールを送ったり、卑猥な書き込みをしたりして本人の評判を下げるなどのトラブルが起きています。

本人コメント欄に個人情報や誹謗中傷を書き込まれる

本名でアカウントを開設してフェイスブックをしている人のアカウントに、その人の現住所や勤務先などの個人情報を書き込んだり、過去に犯罪を犯したことがある、不倫しているなどの情報を書き込んだりして誹謗中傷するケースも実際に起きています。

アカウントの設定にもよりますが、コメントを全ての人に公開する設定にしていれば、その情報は誰でも閲覧できる状態になってしまっています。もしも友達だけに公開できるようにしていたとしても、友達の中には勤務先の同僚や上司、恋人や友人などリアルでも親しい関係を持っている人がいることが多いため、知られたくないことを自分に近しい人に知られてしまうことになってしまいます。

相手のアカウントのタイムライン上で誹謗中傷される

もしも本人のコメント欄に誹謗中傷を書き込んでくるようであれば、その相手をブロックして書き込みができないようにすれば一旦は解決します。 しかし、悪質な場合は自分のタイムライン上で相手のことを名指しにして、被害者には見えないところで誹謗中傷を書き込んでいるケースも。そうすると、ブロックしたとしても誹謗中傷の被害を防ぐことができません。

商品や店に対する誹謗中傷

フェイスブックはプライベートで使っている人もいれば、仕事上のツールとして活用している人もいます。そこで仕事の評判を下げるようなことを広められたり、コメントに書かれたりしてしまうことがあります。

「あのレストランはまずい」「こんな対応をされて本当に腹が立った」「この会社はブラックだ」など、いろいろな誹謗中傷の被害に遭ってしまっている人も少なくありません。

ネットストーカー被害

フェイスブックでは、本人を特定することがたやすい上に、日々起きたことを気軽に投稿しやすいことから、その人がその日どんな行動をしたのか、誰といたのかということが把握しやすいという特徴があります。

そのため、元恋人や元配偶者、過去にトラブルになった人などがフェイスブックのアカウントを逐一チェックしてつきまとい、個人情報を調べ上げたり執拗にメールを送ったりというネットストーカーの被害に遭うこともあります。

参考:ネットストーカーの被害にあったとき、知っておきたい6つの対策

リベンジポルノ被害

フェイスブックでは画像や動画も投稿できますが、この機能を使ってリベンジポルノの被害も多発しています。

リベンジポルノとは、過去に恋人関係にあった人の裸の画像や性行為をしている動画などを無断で不特定多数に公開し、相手にダメージを与える行為です。

参考:リベンジポルノの流出被害にあった時の3つの対策法と4つの相談先

フェイスブックで誹謗中傷を受けてしまった時の対処方法

フェイスブックで誹謗中傷を受けたときにはいろいろな対処法があります。それぞれ順を追って見ていきましょう。

証拠保全は基本中の基本!忘れないで

全ての対処法に先立ち、まずは誹謗中傷やなりすましアカウントが実際にあったことを証明するため、証拠を保管することが大切です。

誹謗中傷の書き込みがと時間、書き込んだアカウントがわかる状態でスクリーンショットを撮って保管する・なりすましアカウントであれば、アカウントの情報がわかるようにスクリーンショットを撮って保管するなど、できるだけ多くの情報が見える状態で保存しましょう。

また、名前や写真は後から変更することが可能ですので、そのページのURLも見える状態でスクリーンショットを撮ることがポイントです。もしも書き込みが誹謗中傷に当たるかどうかが、その書き込みだけではなく前後の文脈から見えてくるような場合は、前後の書き込みも合わせて保管しておきましょう。

アカウントをブロックする

誹謗中傷が軽微で、相手との繋がりを断つことでトラブルが解決するレベルであれば、相手のアカウントをブロックするという方法があります。ブロックしたアカウントからは、投稿を見ることも、ダイレクトメールを送ってくることもできません。

本人に対して直接交渉

まずは、誹謗中傷を行なっている本人に対して直接誹謗中傷をやめるように交渉するという方法です。フェイスブックに書き込むためには、相手もフェイスブックのアカウントを持っていなければなりません。 相手が本名でアカウントを作っているかどうかは怪しいものですが、フェイスブックのアカウント宛にダイレクトメールを送ることもできますので、交渉が可能であればこの方法も有効です。

ただし、お互い感情的になってしまってかえって状況が悪化する可能性もあります。直接やりとりをすることでさらに精神的なダメージを負う可能性も否定できません。また、相手がアカウントを削除してしまっては連絡が取れなくなってしまいますので、この方法を取るかどうかは慎重に判断する必要があるでしょう。

フェイスブックに対応を依頼する

自分で対応せず、Facebookに対応を依頼することもできます。フェイスブックには利用規約が定められており、その規約に違反する悪質な行為についてはFacebook側に報告することで対応してくれることがあります。

例えば、アカウントがなりすましである・嫌がらせ行為をしているなどです。詳しくは、Facebookの「コミュニティ規定」を参照してください。

誹謗中傷のアカウントの個人を特定する

誹謗中傷を繰り返す発信者に対して刑事告訴や慰謝料請求などの法的措置を取りたい・誹謗中傷をやめるよう直接交渉をしたいとき、相手が偽名を使っていて素性がわからない場合には、まず本人を特定する必要があります。 例えば、なりすましアカウントによる被害を受けている時などにもアカウントの個人を特定する必要があります。

そのために必要なのが、アカウントの個人特定のための情報開示です。Facebookに対しては、アカウントの個人情報そのものを要求することはできません。そのため、そのアカウントのログイン情報を開示するよう請求します。

基本的にFacebookでは、ログイン情報開示に関しては法的手続きを経たリクエストしか受付していないため、もしもFacebook宛にアカウントの個人特定と情報開示を要求する場合には、裁判所の仮処分命令の手続きを経る必要があります。

具体的な仮処分命令の手続きについては、後ほど詳しく解説します。この手続きによってログイン情報がわかったら、次にプロバイダに対して発信者情報開示請求を行います。発信者情報開示請求の方法については(リンク:)「誹謗中傷の発信者を訴える!発信者開示請求書の書き方基礎講座」にその手順を記載しています。

参考外部サイト: 「私になりすましているタイムラインに関する情報をリクエストするにはどうすればよいですか。」

名誉毀損罪や業務妨害罪で刑事告訴

個人情報を特定できれば、直接本人に対して法的措置を取ることができます。誹謗中傷の内容が名誉毀損罪や業務妨害罪に当たる場合は、警察に告訴状を提出することによって刑事告訴するという選択肢もあります。

実際に誹謗中傷の書き込みをした人の中には、実際にサービスを利用して不快な気持ちになったため、事実を書き込んだまでだと主張する人もいます。しかし、事実であっても相手の名誉を害するような書き込みであれば名誉毀損として扱われます。

名誉毀損や刑事告訴について詳しくは(リンク:)「ネットの誹謗中傷を名誉毀損や侮辱罪で告訴する手続を徹底解説」を参照してください。

名誉毀損やプライバシー侵害で慰謝料を請求する

フェイスブック上で名誉毀損などの権利侵害を受けて精神的に苦痛を被った場合は、相手に対して慰謝料を請求することが可能です。請求方法として思い浮かぶのは裁判ですが、裁判によらずに内容証明郵便を送るという方法や民事調停、示談交渉などの方法もあるため、さほど費用をかけずに慰謝料を請求することも不可能ではありません。

ちなみに、ネット上で誹謗中傷を受けたときの慰謝料の相場としては50万円前後となり、請求額は誹謗中傷の悪質さや苦痛の大きさなどによっても前後することになります。

身の危険を感じる時は警察へ

誹謗中傷の中には極めて悪質なものがあります。それが「殺してやる」「社会的に抹殺してやる」「家庭を壊してやる」など、相手に危害を加えることを示唆する書き込みです。単に書き込みだけで終わるケースもあれば、実際に相手に危害を加える意思で書き込まれていることもあり、これは簡単には判別できません。

そのため、対策を立てずにそのまま放置してしまうと身に危険が及びかねません。このような場合は、まず警察に相談することをお勧めします。同時に弁護士にも事情を話しておくことで、万が一の時にも対応できる体制を整えておくことが大切です。

フェイスブックに対してログ情報開示の仮処分を申立てる

先ほど、アカウントの本人を特定することをFacebook側に要求するためには、法的手続きを取らなければならないことを説明しました。その主な方法が仮処分命令となりますが、ここでは仮処分命令の申立てについて開設します。

フェイスブックは海外法人

仮処分命令を裁判所に申し立てる前にまず行わなければならないのが、Facebook側の資格証明書を取得することです。

Facebookは日本法人ではなく、アメリカ合衆国の法人です。名称はFacebook.Inc.と言いますが、実はFacebookはこれ一社ではなく、アイルランド共和国法人であるFACEBOOK IRELAND LIMITEDという会社と2社で運営されています。

そして、日本のフェイスブックの運営についてはFACEBOOK IRELAND LIMITEDが行なっているため、仮処分命令の相手方(訴訟を起こす場合も同じ)はアイルランド法人のFACEBOOK IRELAND LIMITEDということになります。

まずFACEBOOK IRELAND LIMITEDの資格証明書を取得

そこで、アイルランド法人であるFACEBOOK IRELAND LIMITEDの資格証明書を取得します。

取得方法ですが、アイルランドの資格証明書はCOMPANY REGISTRATION OFFICEが管理していますので、このサイトにアクセスしてアカウントを開設してデポジットを支払い、電子メールにて資格証明書を請求するという流れになります。

仮処分の申立て

資格証明書を取得した後は、日本の裁判所で仮処分命令の申立てを行います。このとき管轄となるのは東京地裁です。仮処分の申立ては自分で行うこともできますが、保全権利など専門的な情報を記載しなければならないため、弁護士に依頼することをお勧めします。

仮処分命令が認められて発信者のログ情報が開示されたら、それを持ってプロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、発信者の本名や住所などを特定します。発信者情報開示請求についても法的手続きを求めるプロバイダがほとんどですので、その場合は発信者情報開示請求の仮処分、または請求訴訟を行うことになります。

フェイスブックの誹謗中傷対策は早急に弁護士に相談を

フェイスブック上での誹謗中傷やなりすましアカウントによる被害については、Facebookに報告できるシステムが整っているため、ある程度は対応してもらえます。しかし、本人を特定するためにログ情報の開示を請求する場合には、法的手続きを経た請求でなければFacebook側は基本的に応じてくれません。

そのため、仮処分の申立てや情報開示訴訟を行う必要が出てきますので、法律の専門家である弁護士に依頼して手続きを一任することをお勧めします。もしもフェイスブックでの誹謗中傷に悩んでいるのであれば、一度ご相談ください。