2chでの自分の誹謗中傷の書き込みを見つけ、パソコンの画面を見つめながら落ち込む女性

ネット掲示板といえば、最大規模のものが「2ちゃんねる」です。

2ちゃんねるは誰でも気軽に書き込みができる上、2ちゃんねるで扱っていない話題はないと言ってもいいくらいその内容も多岐に渡ります。

2ちゃんねるは1999年に創設されましたが、2ちゃんねるの規模が拡大するにつれ、掲示板上で誹謗中傷の書き込みが問題視されるようにもなりました。

誹謗中傷の対象は芸能人や著名人に限らず、自分の身近にいる人に対しても行われるようになっています。

ありもしない事実を捏造して執拗に書き込むような被害の他にも、特定の人の住所と本名、電話番号などの個人情報やプライバシーを無断で記載するといった被害も多発しています。

今回は、2ちゃんねるで誹謗中傷の被害を受けた時の対処法について解説します。

2ch上での誹謗中傷の書き込みはなぜ大きな問題に繋がるのか

ネットで行われる誹謗中傷は総じて被害が大きくなりやすいものですが、2chの誹謗中傷は他のSNSや無料ブログなどに比べて少々厄介です。その理由はいくつかあります。

規模が大きく被害が広がりやすい

先ほども書いた通り、2ちゃんねるは規模が日本最大級です。

2009年の2ちゃんねる利用者数は1,100万人を超えており、そこをピークに下降傾向にあるとはいえ、まだまだ多くの人が2ちゃんねるを利用しています。

利用者数が多いということはアクセス数が高いということでもあり、何かのワードで検索した時には2ちゃんねるのサイトが上位に来ることは珍しくありません。

中には、関連キーワードで2ちゃんねるが上がってくるワードもあります。

規模が大きいということは、誹謗中傷を書き込まれた時に目にする人が多いということにもなります。

ミラーサイトが多発している

ミラーサイトとは、「2ちゃんねるまとめ」などのように2ちゃんねるの中に書き込まれた投稿を自分が運営しているブログや掲示板などに抽出するサイトです。

誰でも自由に作れるほか、半自動でまとめ記事を作成できるソフトなども販売されており、話題によっては複数のミラーサイトができることは珍しくありません。

ミラーサイト対策としては、まず誹謗中傷がなされているミラーサイトを見つけて1つ1つ手作業で対策を立てていかねばならないため、手間も費用もかかってしまうのです。

参考:ネットの誹謗中傷の書き込みを削除する7つの全手順を徹底解説!

2種類ある2chを相手にしなくてはならない

2ちゃんねるは「ひろゆき」さんこと西村博之さんが「2ch.net」として作成・管理していましたが、2014年に運営会社が変更されました。

同年、西村博之さんが新たなドメイン「2ch.sc」を開設し、現在は2つの異なる2ちゃんねるが存在しています。

この2つの2ちゃんねるは、完全に一致しているわけではないものの、2ch.netに投稿されたデータは2ch.scに反映されています。

そのため「2ちゃんねる」に投稿された誹謗中傷に何らかの対処をするためには、2つの2ちゃんねるを相手にする必要が出てきました。

2種類の2ちゃんねるに加えてさらにミラーサイトもあるため、誹謗中傷の削除や発信者情報開示請求(書き込みした犯人を特定する手続き)を行う時にはそれがどのサイトに向けてのことなのかをしっかりと把握しなければなりません。

参考:2chの書き込みをした犯人を特定する!発信者情報開示請求とは

参考:はじめて発信者情報開示請求や請求訴訟をする人が知っておくべきこと

2ch.scは基本的に訴訟にしか対応しない

ネット上の誹謗中傷に対する対策法としては、大きく2つです。放置するか、書き込みの削除をするか。

このほか、投稿者を特定して損害賠償や慰謝料を請求する、名誉毀損罪や侮辱罪で刑事告訴するという方法もありますが、それは次の段階の対策です。

まずは投稿削除依頼を行うことになりますが、一般的な無料ブログやSNSではサイト管理人に削除依頼を行います。この点は同じです。

「2ch.net」は比較的対応の幅が広く、裁判外の削除依頼も受け入れてもらえる場合がありますが、「2ch.sc」は基本的に裁判上の仮処分命令(裁判所がサイトの管理人等に、書き込みの削除をするよう下す命令)の手続きを経て削除依頼を行う必要があります。

参考:一刻も早くネットの書き込みを削除したい人のための仮処分命令とは

運営会社が海外にある

2ch.net、2ch.scともに海外に運営会社があります。2ch.netはフィリピン法人の「Race Queen Inc」が運営しており、西村さんが新たに立ち上げた2ch.scはシンガポールの「PACKET MONSTER INC.」が現在運営しています。

法人相手に仮処分などの法的措置を取る場合には、商業登記事項証明書(資格証明書)というもの必要です。

資格証明書とは、会社の名称や本店所在地、役員、支店等が記載されたもので、仮処分の申し立てや訴訟を起こすときに裁判所に提出する書類として添付しなくてはなりません。

これは海外法人が相手方であったばあいも同様で、日本国内で商業登記をしていない海外法人についても資格証明書を取得する必要があります。

取得方法は国によっても異なることや英語などでの手続きが必要になるため、手間がかかるのです。

参考:【仮処分・訴訟】誹謗中傷サイトの管理人が海外法人の場合の手続き

2chに誹謗中傷を書き込まれたときの3つの対処法

これまでにも少し触れましたが、2ちゃんねるなどネット上で誹謗中傷を受けたときの基本的な対処法としては以下の方法があります。

  1. 放置して沈静化するのを待つ
  2. 誹謗中傷の書き込みとなる投稿を削除する
  3. 発信者情報開示請求して法的措置を取る

1.放置して沈静化するのを待つ

2ちゃんねるでは、特定の組織や人などを観察してコメントを言い合うというようなスレッドもあります。

このようなスレッドでは往往にして誹謗中傷が行われていますが、時に誹謗中傷を受けている観察対象者本人がスレッドに反論を書き込むことがあります。

誹謗中傷を受けるというのは精神的にもショックが大きく、怒りも湧きます。

事実ではないことについて誹謗中傷を受けていることも少なくないため、反論したくなるのは当然のこと。 しかし、これが返って火に油を注ぐ結果になることも多いのです。

それを面白がってさらに誹謗中傷の投稿が増えたり、他のサイトにどんどん転載されるということがないとはいえません。

そのため、誹謗中傷に対して感情的に対処することは得策とはいえません。相手をしなければそのうち飽きて誹謗中傷も沈静化していく、と考え、ぐっと堪えて放置する人も少なくありません。

しかし、確かに沈静化させることは必要ですが、それでは誹謗中傷の書き込みがずっと見られる状態でネット上に残ってしまうことになります。

2ちゃんねるのスレッドは、レスと呼ばれる書き込みが1,000を超えた時点で閲覧が不可能になります。

これを過去ログ倉庫行きと呼び、誹謗中傷対策として人為的にレスを大量に書き込んで過去ログ倉庫行きにするという方法も取られます。

しかし、ミラーサイトに転載されてしまえばやはり誰でも閲覧できる状態のままであることに変わりはありません。

2.誹謗中傷の書き込みとなる投稿を削除する

これまで見てきたように、2ちゃんねる上でされた誹謗中傷の書き込みを放置しておくと、ミラーサイトに転載される可能性が高まります。

そのため、被害が拡大しないように早急に誹謗中傷にあたる書き込みを削除する必要があります。

投稿の削除はサイト管理人に対して要求しますが、この時、テレコムサービス協会の書式を使うと便利です。

投稿者がわかるのであれば直接削除を求めるという手もありますが、書き込みは匿名でされるため、発信者が特定できることはほとんどありません。サイトごとの詳しい削除手順は以下に記載します。

3.発信者情報開示請求して法的措置を取る

2ちゃんねるに書かれた書き込みが名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたるとき、刑事告訴して刑事的責任を負わせる方法もあります。

また、慰謝料や損害賠償請求訴訟を起こす、訴訟によらずに示談交渉を行うという手段もありますが、そのためには発信者の本名や連絡先をプロバイダに開示してもらう必要があります。

基本的な発信者情報開示請求の手順としては、サイト管理人にIPアドレスを開示してもらう→インターネットサービスプロバイダに発信者情報開示請求をするという流れになります。

2ch.netにされた書き込みの削除方法

2ch.netの場合はメールで管理人あてに削除依頼を出すことができます。削除体制に関するガイドラインもしっかり定められており、「他人の権利を侵害するもの」が削除対象となっています。

その一方で、投稿者の表現の自由についても「最大限保証されるべき」として2ch.netの立場をある程度明確にしています。

表現の自由と誹謗中傷による権利侵害とを比べた結果、記事の削除が適切と判断された場合に削除の判断が下されます。

どんな書き込みが削除されるのか

2ch.netでは、削除されるかどうかの判断基準を明確にしています。

引用元:http://qb5.2ch.net/saku2ch/

■権利侵害とは何か。
法的保護に値する利益を侵害すること,をいう。法的保護に値する利益は,時代とともに,変化するものである。以下は,一般的に裁判上も認められている利益である。

■削除は,リクエストのあった記事について,対応の可否を判断するものとする。

  • 1. 名誉 個人ないし法人の社会的評価を低下させる事実を摘示するもの。
  • 2. プライバシー 人の名前(イニシャル等であっても,個人の特定),住所,家族の名前,電話番号等の組み合わせで,個人のプライバシーを侵害していると判断できるもの。
  • 3. 平穏に生活する利益 他人に危害を加えることを予告するもの。 悪質な殺害予告については,掲示板上で公開することがある。
  • 4. 社会に害悪が生じる現実的危険性がある情報 例えば,爆弾を製造する方法,薬物の売買をうかがわせる情報

■犯罪に関する情報及び法人に関する情報の場合は,原則として,裁判手続きによって仮処分を取得して,司法判断を待つことにする。

もしも判断に困った際には、この基準を参考にしてください。

削除依頼の際に記載すること

削除依頼はメールで行うことができますが、タイトルは「削除申し立て」とするよう指定されていますので注意してください。削除依頼の際には以下の情報を記載します。

  • 削除対象となるURL
  • 削除対象となるレス番号
  • 削除理由

これに加えて、削除理由を根拠づける資料と本人確認資料の添付が必要です。

例えば誹謗中傷の内容が「被害者が○○大学に通っており、大学内で万引きをした」といったような内容であれば、削除理由を根拠づける資料として身分証明書と合わせて学生証を添付する、といったことが必要です。

仮処分命令の申し立て

このように2ch.netではメールでの削除依頼が可能ですが、管理側の審議によっては必ずしも希望通り削除してもらえるとは限りません。

しかし、2ちゃんねる削除体制によると、「RaceQueen Inc.を名宛人とする裁判所の決定については,原則として,従う。」 と明記されているため、裁判上の手続きを踏めば基本的に削除に応じてくれます。

また、2ch.netが認めた弁護士からの請求にも原則対応と明記されているため、可能であれば弁護士に依頼して法的措置を取るほうが確実です。

仮処分の申し立てについては、まずはRaceQueen Inc.の資格証明書を取得しなければなりません。

フィリピン法人の資格証明書はネットを通じてできないため、一般的には海外登記取得代行会社に依頼する必要があります。もちろん弁護士が代行することも可能です。

資格証明書を取得したら、仮処分命令の申し立ては日本国内でできます。

裁判所の管轄ですが、誹謗中傷を受けた人の住居がある場所を管轄している裁判所となります。

参考:【仮処分・訴訟】誹謗中傷サイトの管理人が海外法人の場合の手続き

参考:一刻も早くネットの書き込みを削除したい人のための仮処分命令とは

2ch.scにされた書き込みの削除方法

2ch.scでは「削除人」と呼ばれる運営ボランティアが投稿削除に対応しており、こちらも削除の判断基準については明確にされています。

少し長いですが、削除依頼をする際には参考にしてください。

外部参考リンク:2ch.scの削除ガイドライン

ちなみに2ch.scは2ch.netの書き込みをそのままコピーして掲載していると考えられているため、2ch.net上で投稿が削除されれば連動するのではないかと思うかもしれません。

しかし削除までは連動されないので、やはり2ch.scに対しても削除依頼は必要です。

投稿削除依頼方法

2ch.sc 上で誹謗中傷を受けた場合は、「削除依頼掲示板」に依頼を書き込むという方法になります。

2ch.netや一般的なSNSなどのように、削除依頼をメールや郵送で受け付けていないので注意してください。

そして削除依頼について2ch.scの大きな特徴はそれが「公開」されるということです。

削除ガイドラインには、削除依頼には削除理由の詳細を記載するよう求めていまが、その理由は公開されて全ての人が閲覧可能な状態になってしまうため、削除依頼掲示板を見れば誹謗中傷の内容がわかってしまいます。

そのため、2ch.scに対する削除依頼は原則仮処分命令を申し立てて行う方がリスクは低いのです。削除仮処分決定には削除理由が記載されないからです。

削除依頼の際に必要な情報

削除依頼掲示板に削除依頼を書き込む時には、以下の情報が必要です。

  • 名前(弁護士がいる場合は弁護士の名前でよい)
  • メールアドレス(弁護士がいる場合は弁護士の名前でよい)
  • 削除の対象区分
  • 削除対象のURLとスレッド
  • 削除理由

本人が削除依頼をする場合、名前は本名ではなくても良いとされています。しかし本名でないために本人確認がなされず削除に対応されないリスクは残ります。

このように、公開される掲示板上で名前やメールアドレスを記載することで発生しうるリスクを避けたいのであれば弁護士に依頼した方が良いでしょう。

仮処分命令の申し立て

2ch.scの運営会社も海外法人のため、まずは資格証明書を取得する必要があります。2ch.scを運営しているのは「PACKET MONSTER INC.」というシンガポールの法人です。

シンガポール法人の場合は、資格証明書を管理している会計企業規制庁というところにオンライン上で資格証明書の請求が可能です。

全文英語での入力が必要ですが、抵抗がなければ自分で行うこともできます。 

参考:【仮処分・訴訟】誹謗中傷サイトの管理人が海外法人の場合の手続き

参考:一刻も早くネットの書き込みを削除したい人のための仮処分命令とは

2chのミラーサイトの書き込み削除方法

2ちゃんねるの削除が完了したら、次はミラーサイトの削除に移りましょう。

主なミラーサイトとしては、みずりん検索・ログ速・【2ch】コピペ情報局などがありますが、このほかにも無数にミラーサイトはあり、基本的には一つ一つ手動で削除依頼をかけていくことになります。

ミラーサイトはどうやって見つければいい?

ミラーサイトは無数にあるため、どこに誹謗中傷の書き込みがされているかを一つ一つ見つけ出すのは大変です。しかし簡単に見つけ出す方法があります。

それが、誹謗中傷に該当する書き込みをコピペしてそのまま検索にかける方法です。

誹謗中傷にあたる書き込みの多くは長文になっていますので、ある程度長い文章をそのままコピペして検索することで、ほぼ完全にその文章と一致するサイトがヒットします。

あとはそのサイトの削除ガイドラインに沿って削除依頼をかければいいのです。

ミラーサイトの削除手順

削除方法としては、簡単な順番から以下の通りになります。

  1. まずサイトの管理人に対して削除依頼を行う
  2. 応じてもらえなければ、プロバイダ責任制限法に則って「送信防止措置依頼」の書面を郵送する
  3. それでも応じなければ、削除の仮処分命令申し立てを行う

参考:ネットの誹謗中傷の書き込みを削除する7つの全手順を徹底解説!

参考:送信防止措置依頼の流れと書面作成の7つのポイントを分かり易く解説

参考:一刻も早くネットの書き込みを削除したい人のための仮処分命令とは

2ちゃんねるの書き込み削除は弁護士に相談を

2ちゃんねるおよびミラーサイトの削除方法について解説していきました。2ちゃんねるは掲示板としてもまだまだ日本最大級で影響力もかなり大きなものがあります。

その上ミラーサイトが複数乱立することから、誹謗中傷の書き込みがなされた時には他のサイトや掲示板に誹謗中傷がなされた場合よりも被害が大きくなりやすいのです。

まずは投稿の削除を依頼することになりますが、2ch.scでは削除用の掲示板に削除内容が公開されます。

また、運営会社が2社とも海外法人であることも相まって、専門的な知識が必要となることが多く生じます。

そのため、最初から弁護士を代理人に立てて削除依頼を行なうことをお勧めします。

当弁護士事務所では、相談や見積もりの作成は無料で行なっておりますので、2ちゃんねるでの誹謗中傷で悩んでいる方はお気軽にご相談ください。